日本では、温泉を利用して病気を治療する「湯治」が、古くから行われてきました。温泉療法は、近代医学においても高く評価されています。
では、なぜ温泉は体に効くのでしょうか?
温泉には、以下のようなさまざまな作用が総合的に作用して、バランスの崩れた身体の調子を正常化させ、外部からの刺激に対して抵抗力を増加させる効果があります。これを
「非特異的変調作用」といいます。
温泉の効能効果は、ひとつひとつの作用だけでなく、この「非特異的変調作用」によるところが大きいと考えられています。
温泉水には、いろいろな化学成分が含まれており、入浴することで皮膚に付着したり、皮膚から吸収されたり、ガス成分が呼吸によって肺から吸収されたりします。
また、飲用すれば、成分が体内に吸収されます。
吸収された成分が血液に入って全身に行き渡り、効果がもたらされます。
温熱作用
温泉の持つ熱による作用です。温度により、その効果が異なります。
- 高温浴 …
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42℃以上の熱い湯は、神経系・循環器系を興奮させ、刺激するので、新陳代謝が活発になります。ただし、高齢者や高血圧の人には強すぎることがあります。
- 微温浴 …
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36℃~38℃くらいの、体温に近いぬるい湯では、身体に鎮静的に作用し、神経の興奮を抑えるので、ゆったりとした気分になります。胸の高さくらいの湯にゆっくり入るのが効果的です。
浮力・水圧による作用
首までお湯に入った場合、浮力により、体重が空気中の約9分の1になります。そのため、足腰や関節への負担が軽くなり、水中での運動が楽になります。また、水の抵抗により筋肉などが強化されるとともに、水圧により心臓の働きが活発になります。
温泉地に行くことにより、日常生活やストレスから解放されることや、温泉地の美しい景観や自然を楽しみ、リラックスすることで、身体に良い影響を及ぼす作用があります。
また、山岳地の温泉では、気圧が下がるため、呼吸活動が活発になり呼吸機能が強化されます。